gift頂き物から派生した作品です
ルルーシュが女性化しています
それでもよろしければどうぞ












































雨降る季節に未来を思う


『ブライダルフェア』
『ジューンブライド』

看板が所狭しと並ぶ、繁華街の真ん中で、一際目立つその広告に、目を止めていると、
「素敵〜! 」
「やっぱ結婚するならこの季節よね」
共に買い物に来ていた、生徒会の友人(特に女性陣)が声を上げ、更に足も止め、盛り上がった。
もうそんな季節か、早く買い物を終わらせて学校に戻って、次の予算会議の案を、まとめなきゃいけないなと考えていると。
「こんな梅雨真っ盛りで、雨ばっかりの季節に、何でわざわざ結婚式をあげるんですか? 
新郎新婦も、来てくれた人も、引出物も濡れて最悪じゃないですか」
と空気が読めない(むしろ読まない)と生徒会内でも、評判の少年が爆弾を落とした。
ちなみにその隣で意中の人(生徒会の長を務める女傑)の希望をしかと耳にし、胸に刻んでいたリヴァルは慌てて爆弾発言をしたスザクの口を塞ごうとしたが、遅かったと項垂れた。
確かにそう自分も思うが、素敵と話している乙女心あふれる友人達の前で、言ってやるなよと溜息をついてから、何とも言えない空気を打開するために、
「元々欧米の文化だからな」
口を出すことにした。
「そうなの? 」
と空気を読まない発言をしたスザクが、質問を返したので、英語圏の言葉じゃないかと苦笑混じりに返してから、自分が説明しても良いが、どうせなら、と相応しい相手にと、
「シャーリー、この馬鹿に説明してやって」
と言って水を向けた。
「え、とね【ジューンブライド】は6月の花嫁の事で、6月は結婚の女神ジュノーの月で、
6月に結婚する花嫁は、女神に守護されて、幸せになれるって考えられているんだよ」
一般的に通説とされる説明を、いささか乙女思考を持つシャーリーが、期待通りしてくれた。空気も和んで良かった、良かったと思っていたところに会長が、
「この女神さま、中々強烈でね〜。旦那さまは、凄い浮気症のダメな人なんだけど、ちょっとでも自分以外の女の人に、想いを寄せると、嫉妬に怒り狂っちゃって、浮気相手はもちろん、相手だけじゃなくて、子供にまで嫌がらせしちゃうんだよん」
とにやにやしながら、補足説明を加えた。
確かに神話の中にはそういう話もあるが、わざわざ今しなくても、と思っていると。
「でもでもでも、それだけ旦那さまを、愛してるって事ですよね! 」
説明をしてくれたシャーリーが、慌ててフォローを入れた。よっぽどジューンブライドに思い入れがあるのかなと、少しずれた事を考えていると、
「この国じゃ梅雨で雨が続くけど、他の国じゃ、天候がいい季節だしなー 」
ですよね? とわざわざ会長の方を向いてリヴァルが別の視点からの意見を述べた。
そんなに会長と喋りたいか、いじらしい恋心だなと思いつつ、それでは邪魔しないようにこちらはこちらで会話をしようと
「農耕作業も一段落する時期だしな」
社会学的な立場から見解を述べると、
そういえばそういう時期だったわね、と一生懸命自分を売り込んでいるリヴァルを放置し、会長が相槌をしてくれた。隅の方で相手にしてもらえなかったリヴァルが凹んでいる。
若干悪いことをしたなと思っていると、皆の説明で納得したのか、
「へぇ、ちゃんと理由があるんだねえ」
と質問を投げ掛けたスザクが感心したように発言した。
「まあ日本じゃ結婚式をあげにくい季節だから、ウエディング業界の人が少しでも客を集めるために、西洋の文化を輸入したんだろ」
可愛くない物言いだなと思いながら、言葉をかけると、
「ルルちゃんったら、まったくもう…夢が無いなあ」
会長が苦言を零した、
「せめて『幸せになれる季節』をアピールするために! とか言えばいいのに」
シャーリーが同調する
「すみませんね、夢が無くて」
でも、どうせそんなところだよなあ、と思っていると。何やら考えているようなスザクが、パッと顔をあげ…
「結婚しよう! ルルーシュ、6月に! 」

吠えた。

正直何を言っているのか理解できなかったが、またもや皆が絶句し、なおかつ何とも言えない空気になったのでとりあえず、
「……はぁ? 」
呆れているという事を、主張することにした。分かるように説明しろと、気迫を込めて睨んだが、そんな自分にめげる(気にする)事なくスザクは、
「神さまの祝福があっても、なくても、僕が君を幸せにするよ! 」
と更に空気を読まない発言を続けた。…駄目だ、理解の範疇を超えている。と思っていると、
「オマエ……プロポーズくらいは、空気を読んでしろよ」
女性程のロマンは持たないが、社会性は身に付けている、リヴァルが、同性ながら理解できないと溜め息をつく。
プロポーズ……プロポーズって何だっけ、体型に関するなんかの言葉だっけ? (それはプロポーションだ)
いやなんか、更によく分からない言葉が聞こえてきたぞ、などとぐるぐるとした思考に身を任せていると、
自身の発言も自分の様子すらも軽やかにスルーして、僕が幸せにするけど、縁起は担いだ方がいいよね? と満面の笑みを浮かべつつ、更に爆弾を投下した。こいつは本当に……、
「空気読め! この馬鹿! 」
ともかくこの場の何ともいえない生暖かい空気を打開するために(会長とシャーリーが、嬉しげにはしゃいでいるのを視界から何とか外し)
結婚云々はどうでもいい、プロポーズも知ったことか! 無視だ、無視をするんだ!    
と並々ならぬ決意を持って、肩を震わせながら叫んだが、こちらの心境などお構いなしに、自分の顔を覗き込み、
「あ、赤くなってる」
またもや空気を読まずスザクが呟いた。
赤くなっているって? 赤くなっているのは今叫んだからだよ、この馬鹿。ええいお前らも、気の毒そうな顔をするな、可愛いとか言うな、今夜はお祝いねって何だそれ、どこが祝い事なものか、喜ばしいものか、ああ畜生なんだ、さっきまでこいつが空気を読めない発言をしていて空気が変になったから、人が場を和ませる努力をしていたというのに、あれでもそんなに場は和まなかったか……?  
「返事は? 結婚してくれるよね? 」
更に追い討ちをかけるかこいつは……顔を見るな、式はいつにするかって? 出来るわけないだろ!ええいもう、堪えられるか!!
「知るか! 馬鹿! 」
結婚の申し込みをしてきたスザクはもとより、他のメンバーにも赤くなった顔を見られたくなくて、買い物なんか放り出して、脱兎の如く逃げ出した。後ろで何か叫んでたって、振り返らずに走り続ける。

『結婚しよう』
『幸せにする』

その言葉が嬉しかった、何て……

絶対に認めたくないんだけどな! 
意地っ張りな少女と空気が読めない少年が、何年後かの6月に結婚するのは

また別の話。










頂いたイラストがとても嬉しかったので眺めていたら、そこからムクムクと妄想が湧いて来たので
自重せずに書いてみた小説です
貰って頂けたら幸い、笑って頂けたら本望。ぺっと棄てられるの当然。
と書きなぐり時田さまに送り(押し?)つけたもの(を若干直していたら)
梅雨が明けそうで(しまい?)焦ってサイトに乗っけてみました
綺麗なイラストだけ見て帰って下さい



改めまして時田さま
素敵なイラストを有難うございます
時田さまが描いたイラストが無かったら生まれなかった作品です
本当に大好きです
今後もオンにオフにとよろしくお願いします
2008/07/15
2008/07/17若干手直し

とても素敵なイラストを描く、時田さまのサイト「狗蕨」はこちらからどうぞ


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